ソリューションの項にもご紹介しましたが、1本の光ファイバに多数の波長の光を伝送し、あたかも多数のファイバがあるように活用する波長多重技術があります。
また、光の行き先を切り換える光スイッチや、光を分ける光分配器なども上記でご紹介しています。
元々は基幹系光通信網 (いわゆるバックボーン) に使われた高度な技術ですが、これは今や容易に手の届くところにあります。
バックボーンに用いる大手通信システムベンダーの製品は簡単には手が出ないかと思いますが、光ファイバを活用するために必要な機能に絞ってこの技術を利用することができれば大変有意義です。
技術の項にディスアグリゲーションについて述べました。それに関連して、お客様が必要とする単純な機能を提供すること、例えば「波長多重したいのでその部分だけ入手したい」「光スイッチだけがほしい」などなど対応いたします。
具体的な当社の作業は、アセンブル+制御です。つまり、これらのための光部品や光モジュールは世の中に多数存在します。お客様のご要求を伺って最適な部品を選択し、適切な筐体に組み込む作業をいたします。さらに、お客様のご要望によっては、わざわざその作業をしなくとも、市販品で筐体に実装されたものがすでにあり、それで十分な場合もあります。
光部品は様々なものがありますが、光アンプ、光スイッチ、波長多重器・分離器(MUX/DEMUX)、WSS(Wavelength Selective Switch:波長選択スイッチ)、AOM(Acoustic Optical Modulator)、レーザ光源、ほか多くの実績があります。
これらに限らずご要望に沿った検討をいたします。
いくつかの製品を紹介します。
1.波長多重マルチプレクサ・デマルチプレクサ
一番シンプルな波長多重としてDWDM (Dense Wavelength Division Multiplexing) 対応の2波長を多重 (MUX)、多重分離 (DEMUX) するユニットは型名DPN9021Aです。
何10波長でも多重化できますが、一番シンプルな波長多重です。1550nm帯の光信号ですので、光アンプ (EDFA) での増幅も容易です。
型名DPN9021A (品名:2Way WDM Unit)の主な仕様は以下の通りです。
1.光ポート1(P1): LC Duplex 光コネクタ
2.光ポート2(P2): LC Duplex 光コネクタ
3.共通光ポートCOMMON: LC Duplex 光コネクタ
4.光波長帯: 1550nm帯100GHzスペーシングDWDM信号
5.変換ロス (COMMON-TX側) : 1.4dB
6.変換ロス (COMMON-RX側) : 1.4dB
7.電源: 不要
8.サイズ: 151W×61H×200D(突起部含まず)
9.重量: 645 g
DWDM信号ではなく、1310nm帯と1550nm帯の2波のWDMに対応した製品は、型名DPN9021Bであり主な仕様は以下の通りです。
1310nm帯は光増幅をEDFAで行うことはできませんが、安価なモジュールや100Gbpsイーサネットトランシーバほかがあり、有利な場合があります。
1.光ポート1(P1): LC Duplex 光コネクタ
2.光ポート2(P2): LC Duplex 光コネクタ
3.共通光ポートCOMMON: LC Duplex 光コネク
4.光波長帯: COMMON-P1:1310nm帯(1260nm~1360nm)
COMMON-P2:1550nm帯(1420nm~1620nm)
5.変換ロス(COMMON-P1間): TBD ( 1.5dBTYP)
変換ロス(COMMON-P2間): TBD ( 1.2dBTYP)
6.電源: 不要
7.サイズ: 151W×61H×200D
8.重量: 645 g
さて、さらに多くの波長を多重する機器も製作しております。例えば8K映像を送受信するトランシーバ内には、DWDM波長を8多重するモジュールを組み込んでいます。
8多重、16多重、などご要望に従ってご提供します。
2.Dual 2X2光スイッチ
テレセッションシステムを構築する際に必要となった装置です。交換局へつながるファイバを近くの2地点で共有したい、但し頻繁に切り替えるわけではなく低頻度で切り替えたい 、予約システムで制御したいほどではない、手動で十分、などという場合に使えます。ここで2X2というのは2入力ポートと2出力ポートを持つという意味であり、ある入力ポートはどちらの出力ポートにもつながるし、別の入力ポートはあいている出力ポートにつながるという動作です。
同じことは、ファイバをコネクタから抜き差しして接続を繋ぎ変えればできますが、それはクリーニングが煩雑だったり、繋ぎ間違えが心配です。
構成を下図に示します。
「緑」と「赤」の線がある部分が光スイッチで、手動で「緑」の接続にするか「赤」の接続にするかを選べます。
「緑」の接続を選択した場合、セットトップボックスA側が外部回線につながります。「赤」の場合はセットトップボックスB側が外部回線につながります。渡り線によりループバック接続しているので、外部とつながっていない方のセットトップボックス側に機器は自分の映像がディスプレイに映ります。
さて 「緑」と「赤」の 選択は機器のフロントパネルの押しボタンスイッチで行います。フロントパネルには電源の供給のためのコネクタがついています。至便性を考慮しUSB-Bとして、パソコンやお手元のUSB電源を印加すればよいようにしています。但し、USBによるスイッチ状態の制御はできません。
型名DPN1221A (品名:デュアル2X2光スイッチ) の主な仕様は以下の通りです。
1.構成: 2X2マトリクススイッチ 2組(押しボタン押下による同時動作)
2.切替: フロントパネルスイッチの押下による。(USB制御には対応しない)
3.光信号入出力: 光ファイバ(SCコネクタ)X8
4.光波長帯: 1310nm帯および1550nm帯
5.損失: 1.2 dB以下
6.電源: フロントパネルUSB-B端子より供給(最大100mA)
(ACアダプタ、ケーブル付き)
電源供給は切替時だけ必要、電源なしの時、最後の接続状態を保持。
7.サイズ: 151W×61H×200D (突起部含まず)
8.重量: 720グラム
上記はテレセッションに使用したスイッチですが、シンプルなNX1スイッチすなわち下図のようなものがあります。
N個の光ポート (1~N) の一つをCOMMONポートのつなぐもので、N本のファイバから1つを選択する機能です。ひっくり返して使えば、COMMONの光信号を1~Nの光ポートに接続することも可能です。8X1、16X1などの製作実績がございますし、使用モジュールを変更すればお客様のご要望のお答えできます。
さらに光マトリクススイッチはテレセッションで使用しています。
図にすると次のようになり、N×N光マトリクススイッチはIN-K (K=1,2,…, N) からOUT-K’ (K’=1,2,…, N) への任意の接続ができるものです。任意なのでK=K’も可能ですが、一つのポートに複数のポートがつながる様な接続、すなわち既に接続済みのポートには繋げません。
産総研のテレセッションでは、現在8×8マトリクススイッチを都内交換局に1台、およびつくば内の交換局に1台を設置してシステム運用しています。フィールドに実装して5年以上経過しますが、特にトラブルなくテレセッションの運用に貢献しています。
これらスイッチの制御に関しては、コントローラからのシリアル制御インタフェースを基本といたします。
ポート数の異なるものも製作可能ですのでお問い合わせください。
3. 4×4 WXCユニット
本機DPN4441Aは、フレキシブルグリッド対応の波長クロスコネクト(WXC: Wavelength Cross Connect)装置であり、4入力4出力の光ポートを有します。
WXCの構成はいろいろありますが、本機はスプリットセレクトの構成です。すなわち、内部構成はブロック図に示す通り、入力光信号を1X4カプラで分岐し、WSS (Wavelength Selective Switch、波長選択スイッチ)にて所望の入力ポートおよび所望の波長信号を選択し出力光ポートに出力します。またアッテネーションを加えることも可能です。
さらに、光入力、光出力の一部をタップし各々の波長とレベルを同時にモニタすることができます。
上記の制御はUSB端子に接続したPCから行います。また2系統の冗長電源を有します。
DPN4441A (品名: WXCユニット) の主な仕様は以下の通りです。
1. 入出力光コネクタ: LCコネクタ4系統(入力)、 LCコネクタ4系統(出力)
2. 光周波数: 191.325~196.125 THz (1566.93~1528.58 nm)
3. チャンネル数: 96 チャンネル
4. パスバンド幅/設定分解能: 37.5 GHz(最小)/6.25 GHz(設定分解能)
5. 挿入損失: 20.7 dB(最悪)
6. アッテネーションレンジ: 15dB(最大)
7. 制御インタフェース: USB2.0 (Type-Bコネクタ)/外部Windows PC制御
8. 電源: AC100V 2系統 (冗長構成)
9. 総消費電力/電流: 22W(TYP)/0.22A
10. 寸法: 430mm(W)X550mm(D)X132.5mm(H) (突起含まず)
11. 重量: 11.2kg
(本機はVCCIに関する試験を実施し、VCCIクラスAの特性を満足することを確認済み)
この装置も、大手通信キャリアの交換局内のコロケーションラックに設置して、連続でのフィールド動作を行っております。
WXCといったWSS (Wavelength Selective Switch、波長選択スイッチ)の応用について書きましたが、実験用にシンプルなWSS単体を筐体に実装した例もございます。
1×4, 1×9, 1×20の実績がありますので、ご要望によって使用モジュールの選択から実装や試験まで行うことが可能です。
4. プロトコル無依存メディアコンバータ
本機の構成は下図に示すように2本のSFP+モジュールAおよびBを、電気信号にて直接接続したものです。2つのSFP+の間にはプロトコルに対応した集積回路等を挿入していません。従って波形整形やリタイミングなどの機能は有しませんが、プロトコルによらない接続機能を提供します。
応用例としてはモジュールAとBに異なる波長もしくは仕様のSFP+を挿入し、波長変換等を行うことが可能で、弊社がご提供する光送受信機やテレセッションの波長変換等を実現します。もちろん、光イーサネット信号も通過しますので、波長変換することができます。
SFP+モジュールはご指定の波長に対応するものを弊社からお納めするか、お客様のモジュールをご使用いただくことも可能です。ご発注時にはモジュールの波長帯、数量をご指定願います。
必要に応じて、外部から適切なI2C信号を印加することにより各モジュールを制御できます。パーソナルコンピュータからUSBポートを介してI2C信号を制御できるユニットを本品と一括してお納めすることも可能ですのでご指定ください。
DPN5021A (品名:プロトコル無依存メディアコンバータ) の主な仕様は以下の通りです。
1.光モジュール:SFP+モジュール(2個)
2.光波長・光レベル:使用するSFP+モジュールによります
1550nm帯ITU-Tグリッド/1550nm帯(非オングリッド)/1310nm帯/850nm帯など
3.光モジュール制御:外部からI2C信号印加にて可能(2系統)
4.電源: AC100V(ACアダプタ同梱)
メディアコンバータとして使用するだけでなく、開発現場等でI2C信号を使ってSFP+モジュールの情報読出しや設定変更を行うことも可能です。
5. 分配器
4分配器、8分配器のご紹介をいたします。
入力の光信号を等分に4つの出力ポートへ分けるのが4分配器です。
DPN9045A (品名:光4分配器)の仕様は以下の通りです。
1.光信号入力: 光ファイバ(SCコネクタ)X1 Common
2.光信号出力: 光ファイバ(SCコネクタ)X4 P1, P2, P3, P4
3.光入出力波長帯: 1310nm帯および1550nm帯
4.変換ロス: 7 dB
5.電源: 不要
6.サイズ: 151W×61H×200D
7.重量: 690g
光8分配器を写真に示します。
DPN9049A (品名:光8分配器)の仕様は以下の通りです。
1.光信号入力: 光ファイバ(SCコネクタ)X1 Common
2.光信号出力: 光ファイバ(SCコネクタ)X8 P1, P2, P3, P4, P5, P6, P7, P8
3.光入出力波長帯: 1310nm帯および1550nm帯
4.挿入損失: 11.5dB(MAX)
5.電源: 不要
6.サイズ: 151W×101H×200D
7.重量: 910g
これら分配器は実験用ではなく現場で使うことを想定しているため、堅牢に組上げております。
市販されていない当社独自の装置について記載しました。
本ページ記載以外にも、お客様のご要望に従って実装したり、さらに市販品も組み合わせシステム構築することも可能です。
営業担当宛もしくはお問い合わせフォームよりご連絡ください。