◇はじめに
4Kテレセッションは非圧縮で4K超高精細・音声をゼロ遅延・双方向に伝送できる優れた伝送方式ですが、既存ネットワーク回線を使ってなるべく遅延を減らし、コンサートやイベントの映像を一方向へ配信し多くの方々に視聴いただきたいという要望がございます。
このため当社では米国Videon Central社(ビデオン セントラル社)4K小型エンコーダ(映像を圧縮しイーサネット信号に変換する機器)「VersaStreamer 4K」、「EdgeCaster 4K 」販売を開始しました。
従来の圧縮用専用ハードウエアは大掛かりかつ高価格でしたが、VersaStreamer 4K/EdgeCaster 4K は手のひらにのる小箱サイズ(127 mm X 107.5 mm X 38.1 mm)、専用デコーダ(イーサネット信号を受け圧縮を解くもの)との組み合わせで4K映像の配信が可能です。イーサネット回線を経由し1秒未満の遅延でライブ映像を配信、いわば誰でもどこでも放送局になることができます。本エンコーダの映像インターフェースはSDIに加えHDMIも備えており、汎用の4Kビデオカメラを接続しやすくなっています。また弊社で小型の汎用デコーダも準備可能です。
図. 小型4Kエンコーダによる劇場公演ライブ・イーサネット経由配信の概要
(ユニキャスト配信の場合)
なお映像圧縮の方式にはいろいろありますが、標準的なH.265(HEVC)やH.264(MPEG AVC)に対応、映像はもちろん音声も伝送します。ユニキャストに加えマルチキャストも容易です。
図. 小型4Kエンコーダによる劇場公演ライブ・イーサネット経由配信の概要
(マルチキャスト配信の場合)
さらに多数の視聴者を対象としてストリーミングサービスを行うことも、盛んになってきました。これは大きな放送局やネット配信会社だけでなく、さまざまな規模の事業者やコミュニティが手作りコンテンツを簡単に配信したいというニーズをお持ちだからこそと考えております。さらに新型コロナウィルスへの対応で遠隔地に動画、それも高精細のリアルな映像を送るような場面も増えています。
これらの要望にお応えし、VersaStreamer 4K/EdgeCaster 4Kはユニキャスト・マルチキャストで汎用デコーダ経由映像・音声を配信するのと同時にインターネット経由直接RTMP(YouTube、Facebook、Lineなど)、HLS/DASH(様々なCDN)等で映像・音声を配信、多くの視聴者にどこでもライブ映像をお楽しみいただけます。
図. 小型4Kエンコーダによる劇場公演ライブ・イーサネット経由配信の概要
(マルチキャスト+YouTube配信の場合)
また、エンコーダが小型なので多数のユニットを簡単に設置できます。
EdgeCaster 4Kを4台使って、4台のカメラ映像を台湾のオペラ公演を劇場から全世界にライブ配信した様子が記事になっております。
エンコーダ2機種(VersaStreamer 4K/EdgeCaster 4K) の仕様を下に記載します。
- 解像度:3840 x 2160: 30p, 25p, 24p
1920 x 1080: 60p, 59.94p, 30p, 29.97p, 25p
1280 x 720: 59.94p, 50p - 圧縮方式:H.265, H.264 (4K30Pの場合はH.265となります)
- ネットワーク帯域:0.5~30Mb/s
- Stream出力:
(VersaStreamer) 3xRTMP, HLS, MPEG-TS/UDP, 2xUnicast, 1xMulticast
(EdgeCaster) 3xRTMP, HLS(Push and Pull), CMAF Chunk Transfer, MPEG-TS/UDP, 2xUnicast, 1xMulticast - Multi Bitrate Streaming:
(VersaStreamer) –
(EdgeCaster) 解像度1920 x 1080 以下で対応 - 同時記録
(VersaStreamer) To USB
(EdgeCaster) To USB or SD Card - 映像入力:1xHDMI1.4,
1x3G-SDI (解像度1920X1080以下で対応) - 音声入力:HDMI重畳, SDI重畳, 3.5mm Audio
- サイズ: 127 mm X 107.5 mm X 38.1 mm (突起部含まず )
- 電源 : 12V supply < 10W, IEEE802.3af PoE
- ネットワーク:10/100/1000 Mb/s Ethernet
写真. EdgeCaster 4K正面
VersaStreamer 4K/EdgeCaster 4K、専用デコーダの詳細・価格は弊社までお問い合わせください。
◇CMAF(Common Media Application Format)による超低遅延(ULL:Ultra Low Latency)配信
放送業界などではスポーツ中継で地上デジタル放送と同等の遅延時間でテレビの大画面とシンクロし、特定アングルの映像をリアルタイムにスマホで視聴したいといった新たなニーズが生まれています。またイベントのライブ配信でも遅延時間を一層短縮して臨場感を高めたいという要望がございます。
このためにはライブ配信の延延を2~3秒に短縮する必要が生じますが、その際に強力なツールとなるのが2018年に国際標準化された動画ファイルフォーマット規格「CMAF」の「ULL」による配信です。CMAF ULL配信は動画・音声を伝送する際にセグメントをさらにチャンクとよばれる細かい単位で逐次配信、再生するため、2~3秒の遅延で動画・音声の配信が可能になります。小型4Kエンコーダ2機種の内、「EdgeCaster 4K 」がCMAF ULL配信に対応しております。なおCMAF ULL配信の詳細は弊社までお問い合わせください。