光通信技術のすべてをここで語るには奥が深すぎます。
平易に光通信のことを書き、弊社がどう貢献できるかに触れたいと思います。
身近な光通信は「ファイバー・トゥ・ザ・ホーム」でしょう。昔はメタル(銅線)2本が配線され電話がつながっていましたが、あれが光ファイバになってしまいインターネットやらいろんな通信が流れています。これは自宅から電話交換局(電話が主ではないので、もはやこの言葉は正しくないかもしれませんが、わかりやすく言いました) までの区間です。日頃、誰もがスマートフォンや携帯電話を便利に使っていますが、街に立っているアンテナ=携帯基地局と電話交換局をつなぐのも通常は光ファイバです。これらはアクセス回線と呼ばれます。
一方、電話交換局どおしをつなぐ光ファイバによる回線、都市間をつなぐ光ファイバによる回線、更には都市間をつなぐ回線があります。大都市間をつなぐのをバックボーンと呼んだりします。
更には、国際的な通信、大陸間を横断する海底ケーブルもあります。
これらはみなシングルモードファイバと言って、特殊なガラスでできた約9マイクロメータの光ファイバのコアに光を通しています。曲げることは可能ですが、最小曲げ半径以上であることを守らねばならず、直角に曲げると損失が著しく大きくなるので注意が必要です。ともかく通常は損失が0.2dB/kmとかの値ですので、長距離伝送することが可能です。もちろん大都市間を伝送するためには途中に損失を補うための光増幅器ほかの対応が必要になります。
一方、マルチモードファイバというのがあって、光ファイバのコア部が50マイクロメータとかで扱いが楽であり、例えばコンピュータ間の接続に多用されます。材質もガラス(石英)だけでなくプラスチックも、、、などなど、あんな物がある、こんな物もある、という話をし出すときりがないのですが、長年にわたって各所で研究開発がすすめられ、それぞれの切り口で私たちの暮らしを便利にしてくれています。
光ファイバだけでなく、それにつながる光デバイス、つまり光を発する光源、光を検出する素子、はたまたそれにつながる処理回路・システム……、膨大な研究開発がされてきました。
都市間を結ぶようなバックボーンのビットレートはちょっと前までは10Gb/s、今は100Gb/sは当たり前で、400Gb/sやそれ以上の製品開発が進んで世の中に出てきつつあります。波長多重という技術もあります。これは1本のファイバに波長が違う光(わかりやすく言うと色が違う光)を複数入れてそれぞれ別の情報を載せ通信容量を増大させるものです。波長が1550ナノメータ、1551ナノメータ、…(ホントはもっと端数があります)といった具合に40波もしくは80波とかを1本のファイバに合わせて入れて伝送し、受け側で分離します。
なお、脱線しますが色の三原色の話、2つの色を混ぜると見え方が変わるというのとは全く別です。あれは人間の目の特性を言っているのであって、人間の目のセンサが赤と青を混ぜると紫と同じと感じるのであって、2つの光の波長が変化するわけではありません。光通信で80波長を一つのファイバに加えても、受け側で分離することができます。
さてさて、奥深い光通信技術のもとで、弊社として社会にどう貢献していくかです。
先に述べたように、光通信が広く使われるようになったと言っても、一般的にはまだまだ特殊な技術と思います。大都市間をつなぐような技術、これをもっと広く使えないでしょうか。
非圧縮の4K60フレーム毎秒の映像を送るには18Gb/s程度、少し工夫したとして10Gb/sのデータレートとなります。これは少し前の長距離伝送システムの技術ですが、まだまだ使い勝手がいいものです。
さらに波長多重を使って通信容量を増す、80波長などと言わずに、まずは高精細映像とイーサネットデータの2つを多重することはすぐにできますし、経済効果があります。また、光増幅器というのも普通は目にするものではありませんが、映像を送受する弊社セットトップボックスの中に仕組み、遠方まで通信できるようにする、損失が大きい回線でも通るようにする、ことも容易です。
簡単な例をあげましたが、このように特殊な技術の一部を切り出して、困っていることを解決できる場面が少なからずあります。別項のディスアグリゲーションの考えにも通じるところがありますが、このような特長をもって社会に貢献したいと日々活動しております。